第18回北九州将棋ハイビジョンフェスティバル (2009.3.21-22) (ドクター尼子)

第18回北九州将棋フェスティバルに行って来ました。

■前夜祭

リーガロイヤルホテル小倉の会場のひな壇の上、ずらりと居並んだ棋士の紹介は、知る人ぞ知る神吉六段。

桜の季節に合わせて、全身桜色の衣装で登壇。 ショッキングピンクのスーツ姿も見ているので、地味に見えたり・・・(笑)

のっけから神吉節に、会場は笑いに包まれます。

渡辺竜王には、「宇宙人みたいでしょ?」 のけぞって笑う竜王。

谷川九段には、「最近、タイトル戦に出てませんな。」 谷川九段、しばし、絶句・・・・・・。

3人目が山崎先生です。 「彼は広島の出身なんですが、どうです、イケメンでしょう?」 会場から、パラパラと拍手。

「(照れる)イケメンで拍手を強要しないで下さいよ。」

「ええやんか。「それに、将棋も強い。あの羽生さんを倒してNHK杯を取ってます。」

「ああ(照れる)。でも、その10倍負けてますけど。」

「ええがな、それくらい。NHK杯で勝てば。」 ほめ殺しでしょうか?(笑)

「で、北九州は、どや?」(この質問は、前の二人にもされました。)

「ええ。このイベントにも何度か来てますし、プライベートでも。」

「プライベート?!誰と?」 身を乗り出す神吉六段。

「いや、そんなんじゃないですよ。子供の時に。」

「えっ!?子供と一緒に!?」

「違いますって(笑)」

「(会場の)皆さん、ご安心ください。彼、まだ、独身ですから。」

「で、いい人、いてへんの?」

「勘弁して下さいよぉ(苦笑)」

「明日は、突っ込むからな。」

その時はピンと来なかったのですが、このイベント、あの名人戦のBS解説以来、久しぶりに矢内女王と一緒のイベントだったのですねぇ。

 

棋士の皆さんが各テーブルに散らばっての懇親会。

山崎先生との少しお話しできましたが、たこやきノート2は、夜明け前に書いたとのことでした。

「で、メールを送ったら、しいのみさんからすぐに返事が来るんですよ。」

山崎先生が知りたいのは、”しいのみさんっていつ寝てるんだろう?”ってことのようです。 折角、山崎先生と話しができたのに、意外とたいしたことを話してないでしょう・・・?(笑)

さて、お開きの前に、明日のペア将棋の豊富を聞かれました。 再びひな壇の上の山崎先生たち。 司会進行は、渡辺竜王。

「あの、神吉さんが先手だったら、いきなり何か変な手をさしてくるんじゃないかと心配なんですけど。」 いきなり山崎先生の先制攻撃。

「何言うてんねん。公式戦はともかく、イベントでは、わし、すごいねんで。」 神吉六段も返します。

「いや、すごいと強いは違いますからね。」

「いや、イベントでは強いんやで。ほんま。」 関西らしい応酬に、渡辺竜王も絡んで来ます。

「神吉さん、強いのかもしれませんけど(笑)、神吉さんは振り飛車、矢内さんは居飛車で合わないんじゃないですか?」

矢内女王も参戦。 「私、このお話をいただいた時、悩んだんです。私の敵は、3人じゃないのかと。」 会場、大爆笑。

「何を言うてますねん。必ず勝ちますから。」 矛先は、笑っているだけの里見倉敷藤花へ。

「そや、里見さんは、神吉と山崎とだったら、どっちと組みたかった?」 「山崎先生がいいです。」 間髪を入れない返事に、神吉さん、ガクッ。会場、爆笑。

「そんなにすぐに空気を読んだ返事をせんでも・・・」 話をまとめようと、聞き手の井道さんに振る渡辺竜王。

「じゃあ、井道さん、勝利予想を。」

「え、ええ、私は、若い方が・・・。」 すかさず神吉さんの突っ込みが! 「あっ、それは、矢内女王がつらいでぇ。」 あわてる井道さん。

「あ、いや、香奈ちゃんは10代だしぃ・・・。」 「フォローになってへんがな。」 矢内女王、神吉さんの肩にもたれて泣く仕草。 会場は笑いの渦。

矢内女王、ついに自らマイクを取り、 「もう、それ以上しゃべらなくてもいいから。私がつらくなるでしょう。」

計算されない井道さんの天然ぶりに、大いに笑い、癒されました。

 

■指導対局

22日の午前中は指導対局。 2部制で、男性棋士は6人×2組。 山崎先生は丁寧に指導されるので、最後の最後まで指導をされています。

中学生ぐらいの男の子(4枚落ちくらいだったか)が、もう少しで勝てそうな局面。 でも、5手詰めを発見できないで、悩んでいます。 盤上の竜を動かせばいいのですが、手が金に・・・。

「ン、ンーッ。」 山崎先生から、それはだめだよ、の合い図。 元へ戻す男の子。 それならばと、銀を・・・。

「エヘン。」 それもだめだよ、って。 「その駒は一番利いている駒だからね。」 困った男の子、駒台の歩に手がかかります。

山崎先生、駒箱の蓋を手にすると、持ち駒を隠しちゃってニッコリです。 盤上の駒を使うんだよって、ヒントですね。

その間に、時間切れで「指導対局を終わって下さい。」の放送が。 しかし、素知らぬ顔で、男の子の着手をにこにこしながら待つ山崎先生です。 ついに竜に手が伸びた男の子。

ギャラリーのおじさん達も安堵の様子。 まだ、どう詰ますのかわからないながらも、男の子が勝って終局。 デジカメを撮っているお母さんも満足そう。 いつものように、優しい山崎先生でした。

 

■お好みペア将棋

解説は渡辺竜王、聞き手は井道女流初段。

基本的には、渡辺竜王の独り舞台に神吉六段の絡みが入るっていう感じで、さほど山崎先生は目立ちません。

事前に山崎・里見ペアが先手と決まっていました。

対局者入場し、椅子席に座り、駒を並べるのを譲り合って、結局、女流同士で駒並べ。 「この方が華やかでええやろ。」と神吉六段。

いざ開始というところで、両ペアとも何の作戦も立てていないことが判明。 理由は、神吉六段がさっさと小倉の街に飲みに連れて出たためのようでした(笑)

山崎先生、「どこでも好きな所に振っていいよ。」と、初手を指す里見さんに言っています。

『▲58飛だろうな』と思って見ていたら、初手は▲78飛!(爆)

矢内女王は、当然△84歩。 山崎先生、▲76歩。

前夜祭で「飛車を振られたら、元の位置に戻します!」と宣言していた矢内さんの顔を立てて、神吉六段も△85歩。

「そう言えば、神吉流居飛車穴熊ってありましたね。」と竜王。 「それを、今言うかぁ。」と神吉六段。

「あれ、するつもりだったんですか?」 サラサラと大盤に並べる渡辺竜王。

「右の銀で穴熊を固めるんですが、これで一世を風靡は、しませんでした。固くないもん、これ。」 ズバッと一言に、会場、爆笑。 「他の棋士が真似て、流行するという兆しも、まったくありませんでしたね。」 追い打ちに、会場、大爆笑。

それでも神吉六段は、神吉流穴熊へ一直線。 山崎・里見ペアは、順当に美濃囲いへ。

39手目、「あっ!」と声を出しながら、山崎先生が▲25桂。

「やっちゃった。」 後には引けない決戦の手順を選んでしまいました。 すぐに、ルールで決められた作戦タイム(1分間)を選択。 「どういう順番でいけばいいですか?」と里見倉敷藤花。 「こうして、こうしてもいいし、これでも。」 と、盤上を指さしながら、山崎先生が手順を決めています。

「これは、ちょっと無理かな?」 後ろから竜王が、 「大丈夫。(神吉さんは)弱いから、受けきれないですよ。」 と断言して、会場は大笑い。

その後、神吉六段に疑問手もあり、端攻めが炸裂して、山崎・里見ペアの快勝でした。

途中、19・18・17に香車が並ぶ三段ロケットを作り上げた山崎先生、感想戦で、「普通はできないから、一生の記念にと思って。」と笑っていました。

最後に、読み上げの鈴木女流が、 「121手まで、神吉六段の負けとなりました。」 と宣言して、 「負けたんは、ワシひとりかいな?」 と嘆く神吉六段に、会場は大笑いでした。

 

■トークショー

左から、渡辺竜王、谷川九段、山崎先生、矢内女王、里見倉敷藤花の順に並んで座っています。

進行は、神吉六段と笠井女流アマ名人。

「笠井さんは、今日来ている棋士の中で、知ってる人はいるの?」

「山崎七段とは、私が高1の時に、この会場でペア将棋をしたことがあります。」

「山崎君、初めて聞いたで!」

「いや〜、神吉さんに言うと、どこまで話が広がるかわからないから。」 いきなりの振りにも、ちゃんと答える山崎先生でした。

その後、渡辺竜王、谷川九段の順でインタビューが進んでいきます。

「で、山崎君、研究はやってんのかい?」 弱点をいきなりえぐられました。

「えっ、ここで正直に言うんですか。」 「もっとやっていたら、谷川先生に近い方に行けたと思うんですけど・・・。」

すかさず谷川九段が、ズバッと一言、 「あっち(司会席)に行くかこっち(ゲスト席)に行くか、ここ2、3年で決まると思うんだけど。」

「いや、どちらの道も険しそうですけど・・・。」 と、よれよれになりながらもかわす山崎先生です。

「ところで、山崎よ。がんばれ、矢内をあきらめるなっていうのは、どうなってん?二人、付き合ってるんか?」 いきなりのカウンターパンチが来ました。

「おっと、そう来ましたか。」 「いやあ、でも、一般の人にも言われたことがあるんですよ。 当時、王位リーグに入っていて、『がんばって!』と言われたんで、当然リーグのことだと思って『はい。』って返事をしたら、『矢内さん、あきらめちゃいかんよ。』って(笑)」 矛先は、隣の矢内さんへ。

「矢内女王は、どうなんですか?」 「がんばってほしいです。(将棋で)活躍して。」 二人とも、適当にはぐらかしています。

その後、神吉六段が矢内女王の理想のタイプを聞き始めました。 「面白くて、優しくて、男気があって、一本芯が通っている人ですね。」

「惜しい、最後がわしに合わんがな。ふらふらしとんねん。」 と、笑いを取る神吉六段。

「しかし、聞いているとレベル高いですねぇ。」と山崎先生。

「でも、いつまでも諦めませんなんて言っていると、多くの矢内ファンから、僕、叱られそうです。」 上手にまとめる山崎先生です。

「まあ、実際には付き合ってはいないんですがね。」 と神吉六段もまとめて、次へ進みます。

さすがの神吉六段も、現役高校生の里見倉敷藤花はイジリようがないようです。

「箸が転んでも笑いそうやな。」

「はい。何でも笑います。」 まじめに答えられるので、話が膨らみません(笑)

そこで一転して、矛先が山崎先生に向きます。

「イベントで(里見さんに)平手で負けとったのがおったな。」

「またまた。そんなとこだけ記憶がいいんだから。」

「何で負けたん?」

「いや、あれは、(里見さんが)今よりも小さい時で、『かわいい子がいるなぁ。よしよししておいて、最後にお兄ちゃんの力を見せようかな。』って思ったんですよ。 で、終盤、いい勝負になったんで、『ここらでヨーイドン!先にゴールへ行っちゃおうかなぁ。』って思ったら、むこうの方が、ええ、早かったんですよね・・・(笑)」

あの関西将棋会館でのイベントは、里見さん強しを印象づけましたね。よく覚えています。

その後、会場から投稿された「棋士へのひと言」を取り上げながら、話題が広がっていきます。

『結婚相手は、女流棋士と一般の人とどっちがいいですか?』 という質問が出て、 「次があるとしたら、どないします?」 って、答を求められた渡辺竜王も谷川九段も、返事に窮していました。

「平和な家庭を壊そうとしないように。」 谷川九段が笑いながら神吉六段にクレームをつけていました。

女流棋士の方々は、総じて「将棋の分かる人がいい」とのことでした。同じ話題があるのがいいそうです。

笠井さんが、突然、里見さんに突っ込みます。 「さっき聞いた時、この中では誰がいいって言ってましたっけ?」

「山崎先生です。」 さらっと答える里見さん。

「えっ!僕は100%谷川先生だと思っていました。」 マジにびっくりする山崎先生でした。

このチャンスを、神吉六段が逃すわけがありません。 「山崎君、里見さんはどうよ?」

「いやあ、里見さんは宝物ですから。汚れた手で触っちゃいけないですよ。こう、遠くから眺めておこうかなって(存在です)。」

10歳以上年下の女子高校生ですからね。 「どうよ?」と言われても、山崎先生としては、恋愛対象として考えられないというところでしょうか。 神吉六段のさらなる追及に、 「そろそろ現実的に、一般の方の誰かと(結婚を考えたい)。」 と答える山崎先生でした。 女流棋士の線はないようですね。

 

■記念対局

渡辺竜王対谷川九段の対局は、風変りな出だしから、駒が飛び交うすごい戦いになり、それは名局でした。

しかし、序盤はもちろんゆったりモード。 大盤の前に山崎先生と矢内女王が並ぶと、神吉六段が 「お似合いやがな。」

「もう、ふられたということでいいでしょう。」

「あきらめるな、山崎!」 もう、笑いの取れるものは、とことん使おうという感じでしょうね。

矢内女王は、確かシカトしていましたっけ?(笑)

35手目が封じ手。 相掛かり模様から、後手の竜王が飛車を52に回って、見かけない形になっているので、次の一手も難しいところ。

神吉六段は、玉を固める▲59金を推奨。

「私もそう思っていました。」とは、矢内女王。

「いや、それは絶対にありません!」と山崎先生。

「絶対?」

「ないですよ。」

「棋士生命を賭けるか?わしは賭けるで。」

「賭けませんよ。神吉先生、棋士生命を賭けるって、そろそろ(規定で)引退じゃないですか(笑)」

この数手前に「68銀でしょう。」と山崎先生が予想しましたが、谷川九段は68銀とされませんでした。

「そうすると、68銀とは上がらない展開にするつもりなんでしょうね。」 と解説をした手前、▲68銀とは言えない山崎先生。

「▲15歩かな。この手は10%ぐらいでしょうか(笑)」 という事は、『90%は▲68銀かな』と思いながら聞いていました。

鈴木環那さんが、▲58金と▲68銀と迷って、結局▲58金を選び、候補手が揃いました。

候補手投票は、山崎手(92票)、鈴木手(44票)、矢内手(88票)、その他の手(163票)でしたが、正解は▲68銀でした。

局後に、「お二人は棋士生命を賭けていましたが。」、と聞かれた谷川九段は、 「あの二人は、よく棋士生命を賭けていますから。特に神吉さんは数えきれないくらい賭けています。」 会場の笑いを誘っていました。

終盤、「どっちが勝っている?」状態になり、神吉六段も山崎先生も、ギャグなしでまともな解説に終始するほどの熱戦でした。

結果は、「ハッタリ。」(渡辺竜王)の手を「竜王の読みを信じ過ぎました。」(谷川九段)ために逆転で竜王の勝ちでした。

 

以上、北九州のイベントのレポでした。 なお、メモをもとに書き起こしたので、「」内のセリフは、必ずしも正確ではないことをお断りしておきます。