第50回天童人間将棋 2日目 (2005.4.25) (しいのみ)(写真撮影:雅)

*人間将棋の観戦記はネット上でいくつか読むことが出来るかと思いますが、駒武者体験記は珍しいのではないかと・・・ 

 恥をしのんで書きました。 お楽しみいただければ幸いです。 (しいのみ 2007.1.2)

 

3月、渡辺竜王のブログで、今年の人間将棋が「渡辺竜王対山崎六段」という好カードであることを知った。行きたいな、でも遠いなあ、と思案しつつチェックした人間将棋HP。駒武者の一般募集をしていた。

受付最終日、空きがあったら申し込もう、埋まっていたら縁がなかったものと思って行くのはやめよう。そう思って電話した。

「飛車角桂香はすべて埋まっているけれど、女性が受け持つ歩だけはまだ空きがあります」とのこと。申し込みをした。

(ちなみに当日角をされていた方に聞いた話では「グループ10人で申し込んだけど1人しか当たらなかった」とのことで、男性が受け持つ駒は高倍率だったみたいです。女性は楽勝でしたが・・・ご参考まで)

 

当日。人間将棋本番開始は13:00だが、着付けと打ち合わせのため、朝9:00に福祉センターに集合した。受付で「東軍の3七歩をお願いします」と言われる。「東軍って渡辺竜王ですか、山崎六段ですか」と聞けるようなミーハーな雰囲気ではなかったので(^^; とりあえず用意された衣装に着替えた。

 

それにしても、駒武者は言われたところに移動して座っていればいいんだろう、と思っていたのにどうも様子がアヤシイ。毎年駆り出されている地元の方が、これから「演舞指導」があるのだと教えてくれた。ひー。 「打ち合わせ」って「合戦練習」のことだったんですか。そんなことやらされると知っていたら応募しなかったよ。

 

内心ぼやきながら、なぎなたを持った。型の稽古なんて、学生時代にかじった仕舞の稽古以来だ。まずは右と左を間違えないようにしよう。(←低すぎる目標)数回練習して、全員がなんとか飲み込めたところでお昼になった。駒武者姿のまま、車座になってお弁当を食べる。そして昼寝する間もなく(当たり前)、マイクロバスで山頂へ。バスから降りて人間将棋の会場へ歩いていると、観光客のみなさまからバシバシカメラを向けられた。かなり恥ずかしい。着ぐるみパンダ状態。

 

出番まで時間があったので、ウラでおしゃべりをしたり、なぎなたで遊んだり(爆)していると、息子がやってきた。

「ママ〜。向こうに山崎さんいるよ〜」

「Wow! で、赤? 青?」

「青だった」

東軍か。喜んでいいのか悪いのか。これで山崎先生の顔はほとんど見られない、ということがわかった。

 

時間になり、人間将棋が始まった。信長役の見事なマイクパフォーマンスに聞き惚れる余裕もなく歩の出番。小走りで大将棋盤ステージへ。東西に分かれて何度も切りかかったり走ったり・・・。なんとか無事に終了して盤の端に座った。

続いて飛角桂香役の演武。そして演武指導をしてくださった方の迫力ある殺陣。「双方とも互角の戦いであった。かくなる上は人間将棋で決着を付けん」の声で、西軍大将の渡辺竜王、東軍大将の山崎六段が入場した。

挨拶の後、大将はそれぞれの櫓に上がり、駒武者は盤の所定の位置についた。

(ちなみに櫓の上には小さい将棋盤は用意されていて、これを動かしながら大将は指し手を考えます)

 

写真雅さん撮影

「いざ出陣! 7六歩!」 先手の山崎六段の声で対局開始。

マイクの声が割れそうなほどの気合に圧倒された竜王「威勢の良い声で参りました。8四歩」

出番前、隣の2七歩のひとが「動かしてもらえるかな」と心配していたので、

「山崎さん、居飛車党だから早いうちに動かしてもらえると思いますよ」と言ったんですが、竜王も居飛車党だったんですね。

5手目「6八飛!」に思わず後ろを振り返りそうになりました(笑) このあたりで私の脳内将棋盤は早くも使用不能に・・・。

棋譜

後手は穴熊完成。対して山崎六段「穴熊は堅いばかりで美しくない! こちらは世界で一番美しい囲い、ダイヤモンド美濃だ」

中盤で解説の森下九段、渡辺竜王の指し手を「プロっぽい手ですね〜」と称賛。

すかさず山崎六段「そんなことを言われるとプロっぽい手を出さなくてはいけないではないか!」(場内爆笑)

 

終盤で、動いていない駒が2枚残りました。

渡辺竜王「おぬしを見込んでひとつ頼みがあるんだが・・・」

山崎六段「ん? 言わずともわかっておる!」

見事すべての駒を動かし、接戦の末、127手で山崎六段投了。

終局後、司会の女性の「渡辺竜王の圧勝でした」というアナウンスに対して

「ちょっと言わせてもらっていいですか? 一手差ですから。圧勝じゃないです!」と主張されていました。心の中で拍手!

渡辺竜王「次は勝たせてやるからな」に「次は勝たせてくれるそうなので、今度の公式戦が楽しみです」と応じ、場内が沸きました。

 

退場前、山崎六段は観客にお辞儀をした後、駒武者一同にもきっちり一礼してくださいました。

山形まで来ながら、顔をちゃんと見られたのはこの瞬間のみでした。ちなみに私の記憶の中では「目が合った」ということになっております(笑)

記念写真撮影後、着替えのためバスで山を下りました。車中で地元の方が「あの棋士の人、面白かったね。役になりきってて」。

みんなウンウン、と頷いていました。

また会場に戻れば指導対局を見物出来たのですが、家庭の事情によりそのまま新幹線に乗って帰宅しました。

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楽しかった人間将棋から一年後。

山崎先生と人間将棋のことを話す機会がありました。

「僕が駒武者やったらどうなるのかな。悪い手だったら動かないとか」

ああ、それ、すっごく面白そうです。

でももう一度大将になっていただいて、駒武者全員を山崎応援団で固めるのも楽しいかもしれませんね。